都市型のオルタナティブが衰退した理由

IMG_0004
(インディーズ系メーデーのイベントにて撮影。顔はモザイクを入れています。)

ブログを一時休止していた理由は、看板の一つとして掲げていた「オルタナティブ情報の発信」に自信が持てなかったことがあります。

その前に「オルタナティブとは何か?」について整理したいです。と、いうのも「オルタナティブ」という言葉自体、あまり定着していないので、「何、それ」みたいな意見も聞くからです。

さて、オルタナティブとは、ここでは、「主流のものや既存のものに取って代わるもの」のことを言います。

「もうひとつの世界は可能だ」というキャッチコピーがあります。これは、ダボスで開かれる「世界経済フォーラム」に対抗して民衆運動の側から行われるようになった「世界社会フォーラム」のキャッチコピーです。このキャッチコピーがオルタナティブの目標を表しています。

このオルタナティブについて、自然を基盤とした「田舎型」、都市社会を前提とした「都市型」と仮に呼ぶこととします。もしくは、「山の民」「街の民」と平たく言って良いと思います。

ここで仮に名付けた「田舎型」に関しては、「農的生活」「半農半X」「里山資本主義」の文脈で語られることが多いです。農業や漁業といった生産の手段を持ち、それを基盤にして「自給自足」の生活に近づき、それを「資本主義の代替」と言うのは分かりやすいでしょう。

かつては、資本主義に背を向け、自給自足を理想とした「ヒッピームーブメント」があったと聞きます。しかし、今の人の場合、気張ったところがなく、自然体で田舎暮らしをやっていたりします。この意味では「今はヒッピーはいない、生活者として定着している」と言って良いでしょう。

では、「都市型」と書いたのは一体何なのか。実態が分かりにくいと思います。

「都市型」の場合、主軸になっているのは、クリエイティブ業界の下層、フリーター・ニートなど都市に住んでいる貧困層です。それらの人たちの中で政治や社会に対する問題意識を持った人が繋がり周囲の人を巻き込みながら、自然発生的に立ち上がったものです。文化面で言えば、ドイツのアウトノーメ・イギリスのパンクムーブメント・「ANTIFA」と呼ばれる反ファシズム運動のスタイルの影響を見ることができます。

社会問題に詳しい方であれば、雨宮処凛さんの言論で話題になった若者の労働運動や「自由と生存のメーデー」を知っていると思います。「自由と生存のメーデー」とは、主流の労働組合では「除け者」扱いされていたフリーター・ニートなど貧困な若者を主体とするメーデーとして始まったものです。

「都市型」のオルタナティブを語る際に外せない集団に高円寺の「素人の乱」があります。「素人の乱」の名称はもともとネットラジオの番組名だったが、実際の店舗で営業したところ順調だったので、仲間たちが「素人の乱◯◯店」と名乗る店を立ち上げるようになり、今ではリサイクルショップをはじめ、イベントスペース、古着屋、ゲストハウスなどがあります。

さて、前述の「自由と生存のメーデー」も「素人の乱」も2008年〜2010年を絶頂として、その後は徐々に衰退し、今ではかなり小さなものになっています。


※阿佐ヶ谷メーデー[A-MayDay] 予告(阿佐ヶ谷メーデー公式より。2009年)

この外的な要因として、「自由と生存のメーデー」の主軸になっている「フリーター全般労働組合」が分裂したことや、2011年に渋谷や新宿で行われた反原発デモで「素人の乱」と繋がりのある人が次々と逮捕された件があるでしょう。

しかし、衰退した理由はそれだけではなく、もっと根源的な部分にあると思います。

それは、日本では「都市型」のオルタナティブは「資本主義ののりしろ」に依拠している面があるからです。

「素人の乱」について言えば、新自由主義やビジネスで語られる「独立起業して成功すれば、自由な生き方ができる」と「紙一重」です。政治・社会運動が背景にあるか、プロテスト(社会への主張)を含むかが違うものの、「商売をやっていて、それを基盤にしている」ことは同じです。

高円寺で「素人の乱」が成立しているのは、消費の最先端である東京の中で、地方から見れば「サブカルチャーの聖地」とも言われる「高円寺だから」可能だと言えます。その証拠に大阪や京都で「素人の乱」に触発されたお店は続いていないです。

ヨーロッパの場合、特にドイツ・フランス・イギリスの場合、失業者が簡単な手続きで利用することができる給付金制度があり、助け合って生きて行く文化があります。そして、共有できるスペースを維持する運動が盛んです。つまり、ヨーロッパと日本では背景が全く違う訳です。

現在の日本は貧困層を囲む状況はますます酷くなっています。2008年〜2010年あたりだったら、貧困層といっても多少は余力のある者が苦しい者を助けることがあったし、サブカルチャーやカウンターカルチャーを消費する者もそれなりにいたのです。それが、現在では多くの人の余裕がなくなり、生きるだけで精一杯との状況になっています。62.4%の人が「生活苦しい」と言っている現状があります。

したがって、現状の社会を背景とした「オルタナティブ情報の発信」よりも現状分析と社会運動の報告・提案に割いたほうが良いと判断しました。

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告
レクタングル(大)広告
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク
レクタングル(大)広告

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA